灯そう2023 江川邸の庭へ


 

 

 

 

 かつて、この地には、江川英龍(坦庵)という時代の先を読み、日本の進むべき道 を常に考えていた偉人がいました。英龍は、欧米列強の脅威から国を守り、民の平 和を守るため、品川御台場の建設や大砲鋳造のための韮山反射炉の築造等、自国 防衛のためのさまざまな事業に着手したほか、種痘の普及等の保健・衛生、インフ ラ整備、産業の育成・支援、人財育成と教育等、現代でいえば、持続可能な社会経 済を実現するため各種事業を行いました。

 まさに、SDGs(Sustainable DevelopmentGOALs:持続可能な開発目標)の先駆けともいえる取組です。 韮山には、室町時代に千利休が花器として珍重した「韮山竹」が植生し、現在も重 要文化財江川家住宅(以下「江川邸」という。)の敷地内で見ることができます。


 

 

 

 

また、 地元では、放置竹林対策と文化財の発信という目的で、平成 21 年(2009)から平成 28 年(2016)まで毎年「韮山竹灯籠まつり」が江川邸内で開催されてきました。この 韮山竹灯籠まつりは、地域の課題の一つである放置竹林を減らし、竹灯りの美しさ を楽しめる大変好評を得たイベントでしたが、関係者の高齢化等の理由により、計8 回の開催を以て終了となってしまいました。


 今回、私たちは、SDGs の観点と放置竹林という地域課題へのアプローチとして、 竹の資源活用による循環型社会への取組、竹という資源を通じた技術と智恵の継 承を行うべく、江川坦庵の想いを受け継ぐ韮高生の皆さんと一緒に、この竹灯籠イ ベントを新たな形で創出し、スタートさせたいと考えています。 先の見え難きこの時代だからこそ、幕末に多くの偉業を成し遂げた巨人江川坦庵 に思いをめぐらし、時代の変革のこの時を乗り切っていけると信じています。韮山高 校は令和5年に創立 150 年を迎えます。江川坦庵は、日本の未来を担う”人財”を 育てることに注力しました。いまこそ、その意思を継ぐ韮高生が、地域のため、日本 のために動き出す時です。